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皆さんは、勤め先からお給料を支払ってもらえなかった、という経験はありませんか?キャバ嬢の方からの相談で時々、お店を辞めると伝えたら最 後のお給料を支払ってもらえない、といった相談を受けることがあります。 お給料の不払いは、当然、違法です。お給料の支払いを請求しても使用者がお給料を支払わないときは、労働基準法違反となり、使用者は労働 基準法違反で検挙されることになります。 使用者に賃金を支払うよう行政機関に指導を求めるときは、労働基準監督署へ労働基準法違反を申告し、労働基準監督署の調査を経て、労働基 準監督署から使用者に対して、賃金を支払うようにとの是正勧告を行ってもらいます。 それでも使用者が賃金を支払わず、使用者を賃金不払いの労働基準法違反で検挙してもらいたいと思ったときは、告訴状を作成し、労働基準監 督署へ提出します。労働基準監督署が告訴状を受理したときは、労働基準監督官は、司法警察官として、事業所を家宅捜査し、取調べの上、法 違反の事実があれば、検察庁へ送検します。検察官が更に取調べを行い、起訴相当と判断すれば使用者は裁判にかけられます。 賃金そのものの支払いについては、使用者が労働者の請求に応じないときは、裁判所に民事訴訟を提起して、裁判所の判断を仰ぐことになりま す。裁判所が賃金不払いの事実を認めれば、事業主に対して賃金の支払いを命じる判決を下すか、事業主が裁判の途中で和解に応じれば、裁 判上の和解により、賃金を支払ってもらう権利が確定します。裁判後になお事業主が賃金を支払わない場合は、裁判所に強制執行の申立てを行 い、事業主の財産(預金口座や売掛金等、若しくはその他の動産等)を差し押さえて、強制的にお給料の支払いを実現させます。 お給料(以下では「賃金」といいます)の支払いに関しては、法律上次のようなルールがあります。 1)賃金は労働した後でなければ支払ってもらえません。ただし使用者と合意があるときは、労働する前であっても支払ってもらえます。 2)賃金は通貨(お金)で支払ってもらわなければなりません。 3)賃金は直接労働者に支払ってもらわなければなりません。ただし、労働者が指定した本人名義の銀行口座に振込んで支払ってもらうことはで きます。労働者の代理人が賃金を受け取ることはできません。 4)賃金は、その全額を支払ってもらわなければなりません。分割払いは認められません。 5)賃金は最低限毎月1回以上支払ってもらわなければなりません。1週間に1回や、10日に1回、という支払方法は問題ありませんが、2ヶ月に 1回や3ヶ月に1回といった支払方法は認められません。ただし、賞与等臨時に支払われる賃金は除かれます。 6)賃金は毎月一定期日に支払ってもらわなければなりません。賃金が毎月1回払いの場合は「毎月25日払い」あるいは「毎月末日払い」といっ た形になります。「毎月第3水曜日払い」といった日にちが月により変わるような指定の仕方は認められません。 7)税金や社会保険料といった法律上認められた租税公課等は賃金から控除できますが、旅行積立金や福利厚生費といったその職場内で徴収 する費用については、労働者の過半数を代表する者との書面による協定がなければ賃金から自動的に控除することはできません。
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