キャバ嬢やホステスさんで納得できないけどお水の世界の慣習としてあるから仕方ないと諦めている制度の一つに、罰金、がるのではないでしょ うか。小額の罰金なら諦めもつくけれど、お給料の大半を罰金で差し引かれたという経験をお持ちの方もあるかもしれません。 この、罰金、という制度、法律上は認められるものなのでしょうか? 労働基準法では、減給の制裁、という言葉で罰金に関する基準が条文に定められています。 制裁として減給する場合、1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超えてはいけません。 また、減給額の総額が一賃金支払い期における賃金の総額の10分の1を超えてはいけません。 この労働基準法で定める基準に違反するような大きな額の罰金を課すことは、労働基準法で定める基準を超える部分について強制的に無効とな ります。 例えば、3月から5月まで1日2万円の日給で毎月25日出勤したとすると、平均賃金は16,304円(=2万円×75日÷92日)となります。このと き、1回の罰金として課すことのできる上限は8,152円です。 毎月1回お給料を支払ってもらっている場合、1回のお給料から差し引くことのできる罰金の総額は50,000円(=2万円×25日×1/10)が上限 となります。 では、労働基準法に違反しない範囲であれば、罰金制度は問題ないのでしょうか。罰金は賃金を得て生活の糧としている労働者に大きな不利益 をもたらす制度ですから、労働者が、どういった場合に罰金という制裁を受けるのか、予め知っておかなければなりません。使用者が、罰金制度を 設けるには、罰金の対象となる行為と罰金の額を定めて文書等にして、労働者が見やすいところに掲示するか、労働者が見たい時にいつでも見 ることができるように備えなければなりません。これを法律用語で「周知」するといいます。 罰金は、使用者の労働者に対する制裁罰です。ですから、制裁の対象となる行為やその制裁の種類については、使用者の恣意性を排し、客観的 で公平である必要があります。そして、労働者に予めどういった行為が制裁の対象になるのか制裁の種類にどういったものがあるのか、分かって いなければなりません。 したがって、予め、罰金の対象となる行為やその額が文書等で周知されていなければ、その罰金制度は法律上無効と判断されることになります。 無効と判断されるということは、最初から罰金制度はなかったということになりますから、当然お給料から引かれていた罰金は返してもらえることに なります。
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