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退職強要
このページのポイント
退職勧奨が過ぎたる場合には、退職強要と判断される場合があること。退職強要の場合には、退職の意思表示の取り消しを主張できるほか、使用者等の退職強要行為に違法性がある場合には、これによって発生した財産的精神的損害(慰謝料)を、会社の義務違反や不法行為を理由として賠償請求ができること。
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退職強要とは

退職強要とは、労働者が退職の意思を有しないにも拘らず、使用者によって退職を強いられることです。

退職勧奨の限界と退職強要

退職強要は、専ら退職勧奨に応じない労働者に対して、使用者が半強制的にまたは執拗に退職を、勧奨、することによって、ついに労働者がその意に反して退職の意思を示すことであるといえます。
退職勧奨は、使用者が本来解雇を以って挑むべき労働者に対して、解雇することによって予想されるリスク(労働者の解雇無効の主張によって労使紛争となること)を予め避けるために、使用者からの働きかけによって労働者と労働契約の合意解約を成立させるために行われるものです。ですから順序としては使用者からの労働契約の合意解約の申込と労働者のこれに対する承諾からなると考えられます。退職勧奨は労働者の承諾がなければ成立しませんから、労働者の側から見れば当然、退職勧奨に応じるか否かはその自由な意思によるものといえます。ですから退職勧奨は、労働者の退職に係る自由な意思形成を促進するために、通常は退職金の上乗せや、退職後数ヶ月分の賃金保証などの、金銭的優遇措置を伴います。
退職勧奨は上述のようにこれに応じるか否かは労働者の自由意思によるところ、この労働者の自由意思を拘束し、使用者が労働者に退職願を出さざるを得ないように仕向けた場合には、労働者は強迫や詐欺により退職の意思表示の取り消しを主張しうるし、または錯誤や公序良俗違反で無効を主張することも可能ではないかと考えられます(退職願の撤回のページ参照)。また、使用者の退職強要の行為自体を不法行為と捉えて、損害賠償請求することも考えられます(最高裁昭和55年7月10日第一小法廷判決)。
ではどういった行為があれば退職強要だと考えられるのでしょうか。これについては「全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であった」場合には退職強要であったと考えられます(前掲判例の第一審判決)。具体的には次のような行為があれば退職強要であったといえます。
@ 退職勧奨のための本社等への出頭命令。
A 労働者が退職勧奨には応じない旨の意思を示しているにも拘らず、執拗に比較的長期間、辞めるように(或いはこれに準ずる言葉)を言い続ける。
B退職勧奨に応じない労働者に対して、転勤や配転あるいは降格等、合理的理由がないにも拘らず、当該労働者にとって不利益となるような人事を行う。

諭旨解雇・諭旨退職処分としての退職願

労働者に懲戒解雇事由がある場合に、懲戒解雇による労働者の不利益を避けるためにその前段階として諭旨解雇や諭旨退職として退職願の提出を求める場合があります。この場合には、勧奨が糾問的であっても、これを強迫行為として取り消しを求めることには難があります。
ただし、諭旨解雇や諭旨退職は法律観念的には懲戒解雇の一種と考えられますから(岡山地裁昭和41年9月26日判決)、懲戒権の濫用或いは解雇権の濫用という観点から、無効を主張することは可能です。



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